思い入れがある

 その人は、とても品のいいおばあさんだけど、どこか寂しそうな気配を

していました。

そう言えば…善行は思います。

もしかして、この人と護膚品推介、年齢的に近いのではなかろうか…と。

そう思い至ると、ふと、この人は何か知っているのかもしれない…と

思いました。

預かりものだ…と聞いて、

「そう?」と言うと、女主人は黙り込みました。

何か気に障ること…

無意識で、傷つけるようなことを、自分は言ったのだろうか…

と何か物言いたげに、口をつぐみます。

「いい人形よね?…なんだか心意卡、心があるみたい」

そう言うと、愛おしそうに見つめます。

善行はそんな風にして、人形を見たことがないので、

あらためてじぃっと人形の顔を見つめました。

「人形ってね、人の形をしてるじゃない。

だから人の心も、入りやすいと思うのよね」

女主人は、しみじみと言います。

脇で聴いていた内山さんは學位分配、静かにうなづいています。

そこで幸次郎が、静かに近付いて

「なにか人形に、思い入れがあるのではないですか?」

それを聞くと、老女は少し驚いた顔をします。

それでもすぐにうなづいて、

「そうね、そうかもしれないわ…」

そう言うと、

「よかったら、詳しく聞かせてください」

幸次郎はにこやかな顔で言いました