裕太が騒ぐのは

「うわぁ~」

思いがけず、目の前に広がる蒼の世界に、裕太は思わず

思いっきり大きく、息を吸い込んだ。

一面が、エメラルドグリーンの海が広がり、裕太が騒ぐのは

ムリもない。

眼前に広がる、パノラマビューに、足を止めると…

先ほど、チラリと見えた小さな島が、より鮮明に、

裕太の目に、飛び込ん出来た。。

この先は、断崖絶壁だ。

切り立った崖を、のぞき込むこともせず・・

ただ遥か彼方に、目をこらすと青の世界が、広がっていた。

 

「ここからかな」

草の生い茂る一角が、大きく展開している...

ここからは、下り坂になっているので、慎重にしなければ

ならない。

アスファルトの道に出て来ると、勢いよく自転車を

す~っと、滑らせる。

「これはラクチンだ!」

裕太は、本来の目的…宝さがしの下調べ…のことも、

すっかり忘れて、ペダルから足を放すと、

ひゃ~

調子に乗って、滑っていると…

一瞬、目の端に、何かが写ったのを、見逃しそうになった。

それは、ほんの1瞬、チラリと垣間見えたものの、

何物か…までは、確証はなかった。

裕太はあわてて、急ブレーキをかけると、思わず

つんのめりそうになった。

緑の生い茂る中に、それはひっそりと姿を見せていた。